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【連載】『小粋な手紙箱』 #02 紙を選ぶ

田丸有子

(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタントの田丸有子さんは、子どもの頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの手紙好き。コンサルタントとして手紙文化を広めるために活動している田丸さんに、手紙の書き方のコツや手紙に関するトピックなどを毎月紹介してもらいます。

手紙で気持ちを伝えよう!

前回、手紙には基本の5つのステップがあるとお伝えしました。

5つのステップとは、

  1. 紙を選ぶ
  2. 筆記具を選ぶ
  3. 文章を考える
  4. 手書きする
  5. 切手を貼る

今回はその中の最初のステップ、「紙を選ぶ」についてお話しします。

私は文房具店や雑貨屋さんで素敵な柄の便箋や葉書が並んでいる棚を見ると心惹かれて用事がなくてもつい足が向いてしまいます。見るだけでワクワク。けれど必要のない時には購買意欲を抑えるのがそれはもう大変で・・・。

さて、まずは手紙の内容やどのぐらいの長さの文章を書くのかをイメージしてどのタイプの紙(便箋、一筆箋、葉書等)を使うのかを決めます。

それから手紙を送る相手のことを考えてみましょう。どんな関係性でしょうか。目上の方ですか?親しい友達ですか?どのような趣味をお持ちの方でしょうか。

親しさの中にも尊敬や感謝の気持ちを込めたい時には温かい風合いのある和紙を選んだり、少しかしこまった印象を与えたい時には上等な便箋を使ったり、見た目の印象だけではなく手触りも大事なポイントです。

もし、どうしても決まらない時には下記も参考にしてみてください。

§ 紙選びのコツ

  1. 季節に合うもの

季節の植物や行事が描かれたものは、時候の挨拶を文章で書かなくても一目で伝わり、季節感を出すことができます。


2.趣味にちなんだもの

まずは相手の趣味に合わせましょう。例えば音楽好きの人なら、音符や楽器のワンポイントが付いているものを選ぶと、自分のことをよく知ってくれているなぁ、と喜ばれるでしょう。相手の趣味がわからない時は自分の好きなものをさりげなくアピールするのも良いですね。


3.地域にちなんだもの

住んでいる地域にまつわる特産物や名所をイメージしたものを使うのも良いでしょう。カジュアルな手紙や旅先から出す便りなら郵便局に売っているご当地フォルムカードもおすすめです。


4.縁起物

鳩、四葉のクローバー、てんとう虫、カエル、うさぎ・・・縁起物はたくさんあります。仕事関係の相手に送る場合、出世や勝利、力の象徴である馬や鯉、日本一の象徴である富士山のワンポイントが付いたものを選ぶというのも良いと思います。


5.話題性

例えばオリンピックや旬の映画など、みんなが知っていて話題にすると盛り上がる旬な事や物をイメージさせるものを選ぶと楽しい手紙になります。

いかがですか?

私は手紙の仕事をするようになってから、紙を選ぶことの重要性を一層感じるようになりました。紙には目にした時の印象だけではなく、手触りを通して無意識に伝わる部分があり、それは想像以上に雄弁に文章でうまく言い表せない気持ちまで伝えてくれることがあるからです。

送る相手の顔を思い出しながら選ぶのは心がウキウキする作業です。

紙を選ぶところから楽しんで始めてみましょう。

*次回はステップ2「筆記具を選ぶ」についてお話しします。

手紙トピック

ゴールデンウィークに根津美術館で展示されていた尾形光琳の国宝「燕子花図屏風」を観に行きました。毎年この時期には美術館の庭に咲く燕子花が満開を迎えるのに合わせて「燕子花図屏風」が展示されます。

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今年の4月20日に「切手趣味週間」の切手が発行されましたが、デザインがこの「燕子花図屏風」でした。あの小さな切手の世界はちょっとした美術館。切手で知った絵画の実物を観にいくというのも楽しみ方の一つですね。

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今月のマキシマムカード

ハナショウブ、カキツバタ、アヤメ。

何度聞いてもこの3種の花の違いを覚えられません。

そんな気持ちを表してこんな1枚を作ってみました。

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切手:ハナショウブ/葉書:アヤメ/消印:カキツバタ

お知らせ

手紙の書き方の基本について通信講座があります。

忙しい人でも自分のペースで学べます。

楽しく学んで手紙上手になりましょう!

手紙の書き方アドバイザーⓇ2級認定講座

プロフィール

田丸有子 (たまるゆうこ)

(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタント

子供の頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの文通好き。でも手紙の何がそこまで自分を魅了するのか、深く考えたことはありませんでした。講座を受けて一番良かったことは、手紙が私の憧れを実現する手段であると気付いたことです。自分を表現することで人に喜んでもらいたい。叶えるために出来ることは何かずっと探してきました。その表現方法こそ私にとっての手紙であり、魅かれる理由なのだと気付いた瞬間、「やっと見つけた!」そんな気持ちになりました。

また、郵趣のコミュニティに参加したことで、手紙にも色々な楽しみ方が有ることを知りました。私が今夢中になっているのは、葉書と切手、消印をコーディネートするマキシマムカード。いかにセンス良く仕上げて個性を出すか、考えるだけでワクワクします。

奥深い手紙文化を通して自分の世界が広がっていく面白さを沢山の人たちと共有し、心を豊かにしていきたいです。

ブログ「Cordially yours

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