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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.85 あの定番文具がさらに進化! その2
本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、さらなる進化を遂げた定番文具についてブング・ジャムのみなさんに語っていただきました。
第2回目は、コクヨの「キャンパス フラットが気持ちいいノート(ドット入り罫線)」です。
(写真左から他故さん、きだてさん、高畑編集長)*2023年11月11日撮影
*鼎談は2024年4月5日にリモートで行われました。
見開きページ広々、綴じノートなのに180°フラットに開く!
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――次は「キャンパス フラットが気持ちいいノート(ドット入り罫線)」です。
【高畑】キャンパス史上最高にフラットが気持ちいいって。これまでのキャンパスも比較的開く方ではあったが、「フラットが気持ちいい」ってわざわざ書いてあるノートが出たっていうことで。これはやっぱり、写真撮りやすいからいいよねっていう話だよね。
右は従来のキャンパスノート
【きだて】本当にね、この左右の罫線がずれない丁合は大変だなっていう。
【高畑】いやこれはね、本当に日本のノートはね、すごい。このぴったり合ってるところもそうだし、クオリティもそうだし。これいくらだっけ?
――税込 231円ですね。
【きだて】これはコスト安だよ、本当に。
【他故】普通のキャンパスと20円ぐらいしか違わないですよね。
【高畑】それがすごいよね。
――量産化するのに相当大変だったみたいですけどね。
【高畑】目的としては、GIGAスクールとかで割とノートをスマホとかのカメラで撮って、データにして提出するとか、友達とノートの見せ合いをするとか、いろんな用途として「写真撮るよね」って言ったときに、この「開いてボコってなるのが嫌だ」っていうのはすごく分かるんだけど。それに対して、ノートがフラットに開くっていうのは、簡単そうに見えて難しいというか。
【他故】そうだね。
【高畑】背中を極々わずかな糊で留めてあるだけのノートなんて、そこの部分を弱くするってことはノート自体としては結構リスクが高いので、作るの大変。
【きだて】しかも、キャンパスぐらい生産数が多いノートでそういうリスクを負うのって、めちゃくちゃに度胸がいると思うんだよな。
【高畑】だから、どちらかというとこれまでそういうものはあまりやってこなかったわけだけど、ここに来てGIGAスクールとかあったりしたからだとは思うけど。
【きだて】GIGAスクール云々の前に、俺らも大学生の時に「ノートがもうちょっと開いてくれたらいいのに」と思ってたわけですよ。コピー取るのにさ。
【他故】非常に思ってた。
【高畑】背表紙のないコデックス装みたいなのの方がよく開くとかずっと言われてるじゃん。それが普通のノートでもできるようになった。ただ、ノートの製本強度自体は落ちるので。普通のキャンパスノートって、確か1ページだけ持ち上げて、残りのページの下に2㎏とか3㎏とかの重りを吊しても平気なんだよ。
【きだて】水が入ったペットボトルをぶら下げていたよね。
【高畑】それができるぐらい強いんだけど、これはそこまでめちゃくちゃ強くはないから、乱暴にしないでねとは言ってたけどね。
【きだて】それはしょうがないだろう。
【高畑】最近はコクヨさんって、学習用のアプリもやっているからさ。アプリも自社で作っているからこそっていうのもあるよね。「キャリーキャンパス」(関連記事)とか作っていて、これで写真を撮ると暗記したいところだけラインを引いて消すとかができちゃうわけだよね。
【きだて】考えてみたらさ、2013 年頃に一時期流行ってたデジアナノートって、こういうカタチで生き残ったんだなという。
【高畑】そういうことだよね。特別なマーカーとか付けてないけど、もうこれで十分それができるようになっちゃったから。だからコクヨの場合だと「キャミアップ」だっけ?
【他故】そう、「キャミアップ」を発売していたね。
【高畑】「キャミアップ」の末裔ということも言えなくはない。だからある意味完成品というか。
【きだて】だから、マーカーよりも何よりも、やっぱりフラットに開くっていう方が大事だったんだな。
【高畑】ああいうマーカーがなくても、ちゃんとノートをきれいに切り抜いて使うってこと自体は、今アプリでできるようにはなっている。
【きだて】そうそう。台形補正良くなったというのもあり
【高畑】後ろにアプリのQRが付いているのもあるしね。Dateの下にTimeっていう枠ができたのも、あえて付けたんだろうなって。
【他故】タイムワークだね。
【きだて】「画像をデータ化したときにタイムスタンプとして機能します」って言ってたね。
【高畑】さっきのアプリを使えばってことだよね。
【きだて】コクヨの人にこれの話聞くと、もうとにかく表紙のロゴのことをすごい言ってくる。
【他故】ああ、これね。
【きだて】「キャンパスのロゴをこんなに変形させたのは初なんです」って言っていて。
【高畑】最近の若い人には伝わらない、「スターウォーズ」のオープニングだよね。
【他故】ははは(笑)。奥に行っちゃうやつだ。
【きだて】もちろんメーカーの思い入れとしてそれを言いたいのは分かるんだけど、でもユーザーにとってはあまり意味がないというか、ピンと来ない話でね。
――それだけコクヨにとっては、「キャンパス」というブランド自体がすごいものだということではあるわけですよ。
【高畑】むしろこの表紙に貼ってあるシールでいいんだけどね。
【きだて】そうそう。
【高畑】「フラットに開くよ」ってちゃんと書いちゃってもいいぐらいの感じだと思うんだけど、何がフラットで気持ちいいのかっていうのを書いてもいいのにね。ちょっとおしゃれ過ぎるんだよ。僕はデザインやってきたから、ブランディングがどうというのも分かるんだけど、でもそういうことじゃないよって言いたくもなる。もうちょっと直接的な話でいいよねって。「ここがいいんだよ」っていうのをすごい頑張ったのに、ブランドとかデザインとかっていうことを大事にし過ぎているような気もする。
――まあ、意気込みを表したということで。
【高畑】だから、伝わってほしいと思う。ノートはむちゃくちゃあるからさ、これがどう違うかというのは伝わってほしい。「しっかり開く」とかは言ってあげればいいのにね。あとグラフィックも、謎のモノリスが宇宙の向こうに行く感じではなくて、普通にもうちょっとやり方はあった気がするけど。
【きだて】正直このビジュアルでさ、フラットに開くイメージではないじゃん。
【他故】分かんないね。
【高畑】何か「2001年宇宙の旅」みたいな話になっているので。
【きだて】真ん中に対して、ほんのちょっと凹んでるみたいな。それで開いている感を表現するみたいなグラフィックとか、そっちの方だったんじゃないのっていうのはあるんだよ。
【他故】なるほどね。
【高畑】少なくともこれは縦長じゃん。そうじゃなくて、真ん中にあって、横に2つあって、それがフラットになってる感っていうのを出してほしい。
【きだて】そうそう。
【他故】ああ、そういうことね。
【高畑】ゼビウスの壁かと思ったよ。
【きだて】バキュラ(笑)。256発で壊れるというウソ技でお馴染みの。
【高畑】まあでも、モノは本当に良いですよね。なので、ちゃんと伝わってほしい。お母さんがノート買ってきて、「フラットに開くやつ」とか言われてもなかなか分かんないじゃないかって思うので。ラインナップがすごい増えたからこそ、そこのところは見て分かるようにしないとねという気はする。
――うちの子どもに使わせてますけど、使いやすいと言ってましたよ。
【他故】すごく使いやすいですよ。本当に。
【きだて】フラットになることで、ドット罫がめちゃめちゃ生きるんだよね。
【高畑】そうね。
【きだて】縦の区切りが使いやすくなると、ものすごく自由に書ける。非常に使いやすいので、これはいいなと思ったんだけどね。
【他故】右端も内側も全部罫線があるっていうのが、こんなに広々と見えるんだっていう。途切れてないだけなのに、こんなに広々と見えるんだっていうのがすごい面白くて。こうやって見開きで書くこともできるし。
【高畑】何書いてるの?
【他故】ブルーブラックインキが何故反応するかっていうのを、今もう一回勉強しようと思って。
*他故さん撮影
【高畑】普通にキャンパスノートの正しい使い方じゃないですか(笑)。
【きだて】勉強で使ってるなぁ。
【他故】めちゃめちゃ今勉強で使ってます(笑)。
【高畑】その感じ、高校生の頃を思い出すよ。高校生の時にあったら、めっちゃ喜んでたと思う。高校生の時は、僕はノートをキレイに書きたい派で、 0.3とか0.4のシャーペンで、ちょっと固めの芯を使ってすごい字を書くっていうのをやってたから、少しの膨らみもすごい邪魔に感じたので。これは、几帳面な学生にとっては、本当に気持ちいいんじゃないかなと思うね。
【他故】だと思うね。
【きだて】学生だけじゃなくて、広々と使ってさ、それこそアイデアスケッチだとか、真ん中にちゃんと目標点書いてるマンダラートとか、そういうのに使えるからさ。割と意識高い使い方もあるんだよね。
【他故】ぴったりだよね。
【きだて】色々と工夫できるのは面白いよ。
【高畑】ノートとしては、本当に普通にいいっていう感じだから、すごい強度にこだわるのでなければ、十分これで普段使いのノートとしたら非常に書きやすくて気持ちがいいので。
【他故】めちゃめちゃいいです。
【高畑】ドット罫もいいし。
【他故】普通に万人におすすめできますよ。
*次回は「JETSTREAM Lite touch ink」シリーズです
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