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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.65 ブング・ジャムイチ押しの最新"筆記具"(その3)
本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、ブング・ジャムのみなさんイチ押しの最新“筆記具”を紹介してもらいました。
第3回目は高畑編集長注目のつけペンを紹介します。
(写真右からきだてさん、他故さん、高畑編集長)*2021年11月9日撮影
*鼎談は2022年7月29日にリモートで行われました。
今、つけペンが熱い!!
――最後は、高畑編集長に締めてもらいましょう。
【高畑】最新というか、最近になってつけペンが、セーラーは「ホコロ」、パイロットからは「iro-ustushi」というのが出てきて。つけペンというのが、また変わったかたちで出てきたな、面白いなということで、今回両方取り上げます。「ホコロ」の方が先に出ていて、これはセーラーの一番安い「ハイエースネオ」という万年筆のペン先をプラ軸に無理矢理付けましたというやつで、「iro-ustushi」の方は「カクノ」万年筆のペン先をプラ軸に無理矢理付けましたというやつ。
【きだて】無理矢理って言うな(苦笑)。どちらも、基本1,000円の万年筆なわけね。
【高畑】そう。そのメーカーの持っている一番安い、普及品のペン先を、万年筆だったらカートリッジなんかが付けられるところなんかを全部取っ払って、ただの軸に付けましたという感じのモデルなんだけど。それが、相次いでというか、万年筆メーカーから出てきたよというのが、俺にとってめっちゃ面白いなと思っていて。
【他故】うん。
【高畑】万年筆メーカーはすごい悔しかったんだと思って(笑)。
(一同爆笑)
【高畑】これはだから、マスキングテープブームの後を、万年筆メーカーが色々と頑張って、それこそ「カクノ」が出たことによって1,000円万年筆が出てきて、若い人たちが万年筆を使うようになったよねというのがあって。それは明らかに、「カクノ」が頑張ったと思うんですよ。そうやってみんなが万年筆を使うようになったら、インクが楽しいねということになってきて、「色彩雫」とかが出てくるようになって、各メーカーがカラーインクを出すようになってきてというのがあって、インクの世界にどんどん移行していったじゃないですか。
【きだて】うん。
【高畑】「インク好き」となってきたときに、何が始まったかというと、インクはすごい楽しむんだけど、万年筆に一々入れるというのは扱いが大変だし、いっぱい持つのもあれだから、ガラスペンブームというのが来ちゃうという。多分、予想外だったとは思うけど、ガラスペンがすごい売れてる状況になった。万年筆メーカーは、万年筆を作るノウハウを持ってるんだけど、ガラスペンって作ってないじゃんってなって、今一番人気のジャンルとなったガラスペンを横で見ているだけという状況になっちゃった。
――はい。
【高畑】「ガラスペンの良いところはすぐ洗えるところだよね。万年筆は面倒くさいよね」と言われてしまっているところに、「じゃあ、すぐ洗えるやつを作ってやる」っていうのがこれじゃないですか。
【他故】ふふふ(笑)。
【高畑】だって「hocoro(ホコロ)」なんて、ペン芯がなくて、インクも内蔵できないのに、「ハイエースネオ」より高いんだよ。
【他故】ああ、そうね。
【高畑】それで、「万年筆のペン先でつけペンを作りましたよ」というところなんだけど。万年筆ブームからインクブームに火が付いたところに、当の万年筆が置いていかれるという。
【きだて】そこはちょっと面白い流れだったよね。面白いっていうとメーカーも大変だけど。
【高畑】万年筆があってこそのインクブームだけど、そこから万年筆が取り残されて、慌ててこういうものを作るという。
【きだて】やっぱり、相当蚊帳の外感を味わったと思うんだよね。
【高畑】しかも、「ホコロ」を作っているセーラー万年筆は、日本中のご当地インクを一手に裏で作っているメーカーじゃないですか。
【他故】まあそうだね。
【高畑】セーラー製のインクは日本中に散らばっていて、あんなにセーラーのインクはみんなに評価されているのに、セーラーの万年筆には入れなくて、ガラスペンで使ってますと言われることの悔しさはあると思うんだよね。
【きだて】いいじゃん、インク売れてるんだから。
【他故】いやいやいや(苦笑)。
【高畑】もちろんインクは売れているんだけど、やっぱりそういう思いはあるんだろうなと。それで、当然の流れとしてこういうの作るよね、という感じではあるんだけど。で僕が動画で言っていたけど、「インクリザーバーを付けないとダメだよね」というやつで。
【他故】ああ、リザーバーね。
【高畑】万年筆のペン先をそのまま使っているんだけど、実はインクを溜められない問題というのがある。そもそも万年筆用に作ったペン先なので。その代わり、漫画ペンと違って良いところは、ペンポイントがしっかりしているので、ペン先がすり減らないから。それはすごい良いなと思うんですけど、ラインアップが変という。「ホコロ」は、細字と1.0㎜という「なんだよそれ」という文字幅になったのは、そもそも「ハイエースネオ」がこれしかなかったから。「ハイエースネオ」にMがなくて、しょうがないからこうなっちゃったし、パイロットも「カクノ」のペン先を使ってるから、FとMしかないという状況。作ろうと思えば作れるんだけど。
【他故】うむ。
【高畑】そういう状況で出ているのが面白い。あとね、ちょっと違うなと思ったのは、メーカーのスタイルで、「ホコロ」はペン先を引っくり返すことができる。
【他故】先端の保護ができる。
【きだて】持ち運びできるんだよね。
【高畑】先端の保護ができて、引っくり返して持ち運べるというのは、多分セーラーはインクがすごい売れていることの調査もしていると思うんだよね。そこで、インクをみんなで楽しむ場所に持っていくのに、ガラスペンが苦労しているというのを、多分知っていると思う。これは新しいペンとして作りましたよということで、かたちがこれまでのペンと比べて全然違う。「ハイエースネオ」に似てないし。ペン先を引っくり返すという発想も、外に持ち運んでインクを使うんだよね、というのが分かるかたちなので。
【他故】うん。
【高畑】それに対してパイロットは、どちらかというとオーソドックスなかたちで、そこは保守的なんだよね。オーソドックスなかたちのつけペン。樹脂軸はデスクペンみたいなかたちだし、木軸は漫画ペンみたいなかたちなんだよね。
【高畑】セーラーの方が自由度が高くて、こっちは超絶オーソドックススタイルにできているというのが、会社の考え方の違いみたいなのが出ていて面白い。ただ、ペン先はパイロットらしく、浪波の線が引いてあって、「ここまでインクつけてね」というのが分かるようになってる。
【他故】ああ、真ん中にね。
【きだて】そこら辺は、「カクノ」で学んだところがあるんだろうな。
【他故】そうだろうね。
【高畑】木軸とプラ軸で外径が違うんだよね。外側のかたちのラインが違うんだよ。
【他故】そう、全然違うんだよ。
【高畑】プラ軸は真っ直ぐにシュッと細くなってるんだけど、木軸は途中まで太くて、クイッて細くなってる。
【きだて】あっ、本当だ。
【高畑】木軸は漫画ペンだけど、プラ軸はデスクペン型の文字練習用の習字ペンみたいなかたち。トラディショナルなかたちの方向にいくか、未来型を目指しているかというメーカーの考え方の違いが出ていて面白い。それで、セーラーは1個目が上手くいったんだろうね、今回新しくペン幅を増やしてきているじゃない。
【他故】ああ、増えたね。
【高畑】これすごいのは、今回「ふでDEまんねん」が増えたんだよ。
【他故】そうそう。
【高畑】Mのペン先がないのに、ふでDEまんねんが登場なんだよ。それがすごいのは、「ハイエースネオ」にはないペン先なんだよ。これのためだけにペン先を作ったということなのね。今までは、「ハイエースネオ」があるからこそできましたよという流用品じゃん。今回は、それ専用ということで、プレスの金型を1個作ってるわけだよ。そこはすごい。これは本気で攻めてるなと。あとは、リザーバーを付けたところ。
【他故】ああ。
【高畑】「ほらね」って言いたくなるんだよ。
【きだて】せっかく万年筆ペン先を使ってるんだったら、リザーバーは欲しくなるよな。
【他故】保持力が全然違うからな。
【高畑】これカリグラフィーペンなんだよ、元々が。1㎜とか1.5㎜、2㎜というのは、元々カリグラフィーペンとして作っていたのに、それをリザーバーなしでつけペンを作るのは無謀だと、ペンを作っている人だったら当然分かっているので。この登場が遅れたのは辛いところではあったけど、今回これが付いてきたのはいいかなと思う。
【きだて】やっぱり、相当言われたんだと思うよ。
【他故】言われたでしょう。
【高畑】メーカーの人に、僕の動画をすごい見たって言われた。
【他故】ははは(笑)。
【高畑】それで、もし言うならば、ここへ来て何故ゼブラから出て来ないんだって思う。
【きだて】そうそれ。だって、ゼブラってつけペンの資産をたくさん持ってるじゃん。
【他故】まあ、そうだね。
――元々つけペンメーカーですものね。
【高畑】そう。タチカワ、日光はともかく、ゼブラ出て来いだよ。
【きだて】そうだよ。それこそ、チタンペン先のつけペンを出しなさいよって。
【高畑】そうなんだよ。新しい工夫をした、ゼブラらしいものを。だって、「デルガード」みたいなのがあるわけじゃない。新しいつけペンを見たいじゃんっていうところで、ゼブラどうした?って思う。
【他故】新しいつけペンね。
【高畑】それと、ここへ来て、「ガラスペンがガラスじゃなくてもいいよね」的なところで、「ドリログ」だったり、カキモリが出してきたメタルポイントがあるじゃない。
【きだて】そうそう。カキモリのはめちゃくちゃカッコいいよね。
【高畑】カッコいいけど、インク保持がちょっと。ガバッと出るから。
【きだて】確かに、瞬時に流れ切っちゃう感じはするよ。
【高畑】性能的にはまだ発展途上で、「ドリログ」(写真)はそこを何回も頑張って作っているところがあって、ちょっといいかなと思う。
【高畑】つけペンとかガラスペンというのが、万年筆のブームからもう1回出てきているというのと、ここで何か新しい遊び方、ペン先を引っくり返すとかキャップ付けるとか、昔はなかった方向性で。「メタシル」なんかもそうだけどさ、昔は当たり前だったものを今作り直して、あれこれ今っぽくするという。
【きだて】「メタシル」はさすがに、4世紀、5世紀前の話だから、ちょっと難しいだろ。
【高畑】あれはあれでまた別のジャンルだけどね。つけペンなんて忘れ去られそうなジャンルのものを、万年筆なんて1,000円で買えるのに、そこからペン芯なんて取る必要ないじゃんって思うんだけど、そこでまた新しいことをやろうとしているのが面白い。
【他故】なるほどね。
【きだて】それだと、インクを万年筆に吸わせずにドボッとつけるだけじゃダメなのとか、色々と言いたいことがあるんですけどね。
【高畑】でも、あれだと洗いにくいんでしょ。インクが中に入っちゃって。
【きだて】ああ。
【他故】櫛溝に入っちゃうとね。
【高畑】毛細管現象でインクが吸われちゃうから、きれいに洗えない。
【他故】そうそう。
【高畑】全然関係ないけど、「iro-utsushi」のペン先って外せないんだよね。
【他故】外せないね。
【きだて】あ、外せないんだ。
【他故】そう、交換できない。
【高畑】基本は、「カクノ」のペン先をそのまま付けましたという感じなんだけど、書き心地は「カクノ」だし、インクのフローというか流れ方をみると、「カクノ」の方がやっぱり書いていて気持ちいいよ。
【他故】それはそうだね。
【高畑】でも、これはこれで楽しみ方を別にするというか。まあ、キャップが欲しいね。
【他故】メーカーは、これをキャップだと言ってるんですけど(苦笑)。
【高畑】チューブがね。
【他故】「使ったあとは戻してください」って書いてあるんだから、これをキャップだと思ってるんですよ(笑)。
【きだて】それはどうかな(苦笑)。
【高畑】そこはセーラーの方がいいね。持ち運びとか収納に関しては。これをキャップと言うのはどうかと思う。
【他故】それだったら、デスクスタンドを作ってほしいな。これをデスク用だと言うんだったら、立てられるやつをさ。
【きだて】ああ。
【高畑】そこはね、逆に「ホコロ」は首がカクカクする問題があって、俺はマスキングテープを巻いてるんだけど、これは今回直したらしいよ。金型を直したらしくて。初期のやつはちょっと首がグラつく。
【他故】うん、するする。
【高畑】でも、今は中の突起の数を増やして、グラグラしないようにしたらしいよ。
【他故】そうなんだ、へぇ。
【高畑】セーラーは面白くなってきたという気はする。
【きだて】そうだね。
【高畑】買えない高級品も多いけど、デザインがカッコいい。110周年のモデルは、手が出なかったけど、超カッコいいなと思う。
【他故】ああ、カッコよかったよな。
【きだて】いろんな面で思い切ったというか、そんな感じはするね。
【高畑】良いなと思いますよ。まあ、つけペンが面白くなってきたので、私としては全然アリかなと。
――どっちのつけペンも売れてるんじゃないですか。
【きだて】それは売れてはいるでしょ。
【他故】売り場で見ていると、ポコポコと什器から抜けてますものね。「ああ、売れてるんだな」と思って。
【高畑】そうだし、ネットでもよく見るよね。SNSでよく見る。
【他故】最近、SNSに書写をアップする人がいるけど、結構使ってるよね。気軽に使えるからというのもあって。
【きだて】あーはいはい。そうだね。
【他故】「ホコロ」も「iro-utsushi」も、転がらないように、軸の下が平らになってるじゃん。
【きだて】はいはい。
【他故】割とこれが効いているなと思って。「iro-utsushi」だとちょうどロゴが真上にきて、まあそういうデザインなんだろうなと。
【高畑】プラ軸は転がり留めが付いてないので、ペン先が裏向きで止まっちゃうんだよ。プラはそこが微妙。
【他故】僕も木軸の方が好き。「iro-utsushi」の木軸の方は、そういう機能なのかどうなのか知らないけど、平らなところに中指を置くと、ちょうど真上を向くようにできてるんだよね。だから、ガイドになってるんじゃないかなと思ってるんだけど。「カクノ」のペン先のスマイルマークと同じで。
【高畑】僕は、むしろワザと外すけど。
【他故】ワザと外すんだ。メーカーはそんなことをひと言も言ってないけど、俺はそんな気がしてる。
【高畑】でも、貯まってきたインクをいろんなかたちで遊ぶというのは、やっぱり課題ではあるからね。
【他故】まだまだこういうものが、全然出てくるかもしれないしね。
【きだて】うーむ。
【他故】例えばさ、金ペンでこういうものが出たらみんな欲しいかね?
【高畑】いや、どうだろう?
【きだて】うっ、う~ん。つけペンとしては過剰だと思うんだけど、面白いのは面白いよね。
【他故】パイロットの1号ペンって、つけペンなんだよね。今、パイロット本社の1階で展示しているけど(*2022年8月31日まで、こちらの記事を参照)。
――ああ、そうですね。1号ペンはデスクペンなんですよね。
【他故】そう、デスクペンなんですよ。その後、吉川英治が「宮本武蔵」を書いたときの復刻ペンが出たけど、あれもつけペンなんだよね。だから、これも金ペンにするのも面白いと思いながら、今インクを消費したいと言っている人たちとはニーズが違うのかなと思ったりして(苦笑)。
【高畑】金ペンにするんだったら、何か新しいギミックを考えてほしいな。それこそ、万年筆みたいに、キャップはめて持ち運べたりとかさ。
【他故】逆に「キャップレス」みたいに、先っぽだけ出るとか。
【高畑】何か仕掛けをしてくれないと、このまま金ペンにしましょうというのは、ちょっと違う気がする。「ホコロ」みたいに新しい提案がほしいね。持ち方とか使い方の新しい提案が。
――つけペンって、結構持ち歩きますかね?
【きだて】やっぱり、イベントをあちこちでやっている以上は持ち歩くでしょう。
【高畑】イベントをやってるとね。
【他故】インクビンを持ち歩くという発想はないと思うので、基本的にはあまりないんじゃないかと思うんだけど、どこかにインクがある場所に自分のペンを持っていくという意味ではあるよね。
【高畑】ガラスペンを持っていくなら、つけペンはもちろん持っていけるわけだから、ガラスペン持って出かけるぐらい気合いの入るところだったら持っていくんじゃない。趣味の人としては、誰かと一緒にインクのイベントに行くんだったら、持っていきたい気分はあると思うけど、家に置いておく分にはどっちでもいいけどね。でも、家に置いておくにしても、とんがってるからさ、しまい方がさ。どうしようかね、このチューブは。金ペンの「iro-utsushi」が出てきて、このチューブが付いてたら怒るよ。
【きだて】まあ、そうだな。
【高畑】これはやっぱり、デスクスタンドを付けてくれるとかさ、何かないとそれはいかんよ。
――この間の伊東屋のインクイベントのおまけのつけペンは「iro-utsushi」でしたね。
【他故】ああ、そうでしたね。
【高畑】ガラスペンじゃなくてこれなのは、落としても割れないからイベント的に安全だし、ガラスペンほどインクが吸えないから、インクが減りにくいというのはあるかな。
――まあでも、「この時代につけペンが蘇るなんて思いもしなかった」と言っている人がいましたよ。
【高畑】本当にそうですよ。
【きだて】未だに俺はピンときてないところがあるんだけどね。ガラスペン以降のつけペンブームに。
――戸惑いがありますか。
【きだて】俺がそんなにインクを持ってないということもあるんだけどね。
【他故】まあそうだね。インクがなければ、ぶっちゃけ要らないものだからね。
【高畑】そうだし、気に入ったインクをちょっとだけ持っているんだったら、万年筆でいいからね。
【きだて】そう、万年筆で足りてるんだよ。それで充分なので、ちょっと本当に分からないんだけど。まあ、未だにインクブームは続いているんだろうなというのは分かる。だから、理屈は分かるけど、感情が追い付いていない。
【他故】なるほど、ピンとこないんだ。
【きだて】ということで、苦手なジャンルではある。
【高畑】ガラスペンはピンキリで、書き心地がいいのは本当に良いんだけど、あまり良くないガラスペンも多いので。かたちだけガラスペンっていうのも多いからね。
【他故】あるんだよね。
【高畑】やっぱり、落とすと割れちゃうというのは、恐いよね。
【他故】あるよね。俺もこの間、1本挿しのペンケースに入れっぱなしにしていたガラスペンを久しぶりに取り出したら、中で半分に折れてた。何かした記憶が全然ないのに二つに折れてたから修理に出したけど、ショックだよね。
――これは、落としてペン先が曲がったとしても、「また買えばいい」という気安さがあるので。
【高畑】そう簡単には壊れないので。そういう意味では「ホコロ」は良いんだよ。ペン先をひっくり返せるから。こういう安心感があってほしい。
【他故】なるほどね。
【高畑】きだてさんがいまいちモヤモヤしてて。
【きだて】すまんな、乗り切れなくて(苦笑)。
【高畑】いや、そういうところなんだよ。これはメインストリームにはならなくて、「カクノ」でよかったりするじゃない。でも、今のブームに寄せるかたちで、万年筆メーカーが慌てて作りましたというところのものだし、自分たちが蚊帳の外というのは悔しいんだろうな。まあ、それなりに売れてるしね。
【他故】まあそうね。
【高畑】なので、いいんじゃないかと思います。
――まだまだインク沼は続きそうなので、これからも色々と出てくるでしょうね。
【高畑】沼ぐらい続いてくれないと、俺らやることなくなっちゃうじゃない。
【他故】ははは(笑)。
【高畑】沼があって、何とか博が盛り上がってくれているからさ。新しい動きがあるのはいいことだよ。
プロフィール
きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/
他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。ラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」が好評放送中。ラジオで共演しているふじいなおみさんとのユニット「たこなお文具堂」の著書『文房具屋さん大賞PRESENTS こども文房具 2022』が発売中。
たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/
「ブング・ジャムの文具放談 特別編・完全収録版~『ブング・ジャム的Bun2大賞』ベスト文具を決定!~」〈前編・後編〉と「ブング・ジャムの文具放談・完全収録版~2020年Bun2大賞を斬る!~」〈前編・後編〉をコンテンツプラットフォームnoteで公開中。
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