【連載】月刊ブング・ジャム Vol.21
本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、ブング・ジャムのみなさんの2018年ベストバイ文具を紹介してもらいました。*他故さんは風邪のため、前半のパートは欠席しました。
「手でバリバリ人」も「カッターでザクザク人」もコレを使うべし!!
『ダンボールカッター』をAmazonでチェック
――本日は、皆さんの今年1年のベストバイ文具を紹介してもらって、それで1年の締めくくりとしたいと思います。
【きだて】そのタイミングで、他故さんがいないというこの痛手。
――他故さんは風邪で欠席となってしまいましたが、他故さんのパートだけ、後日収録とさせていただきます。どちらからいきますか?
【きだて】俺からいこうか? どうせ文具王は語りが長いだろう。
【高畑】そうでもないけど。じゃあ、きだてさんのベストバイは?
【きだて】ベストと言っても難しくて。今年は俺的にはわりと面白い製品がいろいろ出た一年だったからさ。で、結局のところ、最も稼働時間が長かったものはなにか、と考えて。
【高畑】それは自分の、ということね。
【きだて】そう。俺の生活の中で一番よく使われたのは、ミドリの「ダンボールカッター」なのね。以前「ハコアケ」のときも語ったけど、梱包を開ける道具がうちではとにかくフル活躍という感じで。
【高畑】全ての部屋に置けと言ってましたよね。
【きだて】そうそう。「ハコアケ」はそう言ってたんだけど、やっぱり専用の道具の方が当然便利だな、と。
【高畑】はさみと兼用でなくということ?
【きだて】うん。ダンボールを開けるだけの単機能ツールってことで。これ、いろんな意味でちょうどいいのね。まず刃が、ほんのちょこっとじゃん。刃の高さが4㎜なんだけど、この4㎜がダンボールにすごくいい数字なんですよ。
――ほう。
【きだて】ダンボールって、大体3㎜厚、4㎜厚、5㎜厚じゃん。それで、家電を梱包するようなダンボールが4㎜厚。ってことは、刃が4㎜ならダンボールの中身には刃が絶対に触れないわけでしょ。かといって刃が入りにくいわけじゃなくて、このくらいの長さだったら、梱包用のテープにズブっと食い込むし。
――はいはい。
【きだて】それで、そのまま引いていけるこのかたちの良さ。あとは、マグネットが入っているちょうど良さというのがあって。とにかく、一番使う玄関だとドアに付くし、リビングだと冷蔵庫に付くし、仕事場だとスチールデスクに付くという感じ。基本的に、家の中はマグネットに付くものがいっぱいあるので置き場所に困らないし、しかも各部屋に専用の置き場が場所をとらずに作れる。こういう小物って、住所が大事じゃん。使った後に紛失させないためには、常に決まった住所に戻してやる。その住所が壁とか冷蔵庫とかドアとかに確定できるというのは、非常に大きい。ていうので、今年はかなり使ったね。
【高畑】何個買ったの?
【きだて】これは3つ。
――各部屋みたいな感じですか?
【きだて】今のところ、玄関前とリビングと仕事机の3つ。あと1個ぐらい欲しいなと思うけど。
――なるほど、手元には必ず置いておくんですね。
【高畑】これいいよね。僕も使ってます。置いておける場所があるのもいいし、このセラミックの刃が切れがいいよね。すごくよく切れるよ。ダンボールを切るかというと、テープだけなんだけど、ガムテープでもすごくよくいい感じに引っ掛かって切れてくれるのよ。
【きだて】そうそう。食い込みがいいって、まず大事じゃん。ズボって入るから。
【高畑】そんな感じ。あとは、刃を引くときに、ダンボールとダンボールの間の轍から外れもせず、ダンボールを切りもせずで。カッターナイフだと、ダンボールの方に切れていったりするじゃない。そういうことにもならず、中身も切らないで、ダンボールの間と間にはまったままシュッと動くんだよね。それが気持ちいい。
【きだて】「ハコアケ」の惜しいところはそこなんだよね。ちょっと刃が足りないの。もう1、2㎜刃が出てればダンボール同士の隙間から外れないんだけどね。たた、「ハコアケ」はハサミとして使えるので、それはすごくいいの。ただ、ダンボール開けるだけだったらこちらの方が俺には便利でした。
――その刃の出方がポイントなわけですね。
【きだて】絶妙。あと、セラミック刃なので安心感もあるんですよ。
――それで手をケガするということは?
【きだて】切れすぎて恐いということもないし、ちょっと触っても切れないし。
【高畑】まあ、あまり触りすぎると危ないけどね。スチールの刃だと交換が必要になってくるじゃない。それに対して、このセラミックの刃だと、今年ずっと使ってるけど全然心配にならない。
【きだて】そうだね。
【高畑】あとこれ、安くない? いくらだっけ?
【きだて】800円前後だと思う。
【高畑】そのくらいだっけ?
――860円ですね。
【高畑】すごい安いというほどではないか。
【きだて】だから、もうちょい安く、500円台だったら嬉しいなと思う。
【高畑】いやでも、セラミックの刃を使っている割には安いなと思って。
【きだて】あ~、それはある。
【高畑】1枚切りは要らなくない?
【きだて】いや、1枚切りも使うのさ。
【高畑】えっ、何に使うの?
【きだて】DVDやゲームのパッケージにかぶってるフィルムを切るのにいいのさ。スーって引くときれいに切れる。
【高畑】お~、いいじゃん。
【きだて】ただし、力を抜き気味にしないと、中のパッケージの紙の部分まで切れちゃう可能性がある。
【高畑】本とかDVDだと、小口のところに当てて使えば、結構きれいに切れるよね。
【きだて】あのシュリンクパッケージって、ものすごく開けにくいじゃん。開け口が見つからないとか、イライラするじゃん。
【高畑】もうちょい開閉が楽だといいなと思うけど。
【きだて】そこら辺は、セーフティの問題を考えてのことかもしれないけど。ただ、俺が1点なんとかしてほしいのは、楕円形にしない?っていう。
【高畑】どういうこと?
【きだて】パッと手に取るじゃん。違うところを開けようとしちゃったりとか、どこから開くのかが、パッと分からないの。手触りだけでね。
【高畑】あ~、見ないでも分かるくらいになってほしいんだ。手で触っただけで。
【きだて】手で触った段階で、楕円だと方向が分かるじゃない。
――そこは、デザインを優先したんですかね。
【高畑】あとね、もう1個言うとしたら、どっち側にマグネットがあるか分かるようにしてほしいんだよ。
【きだて】はいはい、そうね。表裏が分かりづらい。
【高畑】壁につけようと思ってパンってやると、ツルッと滑ったりして。だから、表裏がないんだよ。
【きだて】デザイン性を優先し過ぎて、ちょっともったいないところはあるんだけど。
【高畑】その辺が分かりやすいと、俺もいいなと思うな。
【きだて】この、「円でどこから開けていいのか分からない問題」というのは、結構悩まされていて。そもそも開けづらいので、ギュッと力を入れちゃってから、「あ、違う違う」ってなっちゃうから。それで、目視してやり直さないといけなくなるので。
【高畑】刃物が出てくるから、そこはね。
【きだて】やっぱり、チャイルドセーフティーみたいなところはあると思うんだよ。なかなか力が要るというのはしょうがないと思うんだ。
――まあ、子どもがいたりすると危ないですからね。
【きだて】だから、せめて開く方向を分かりやすくしてくれたら。あとは、さっき文具王がいったように、マグネットの位置のことは俺も悩まされている。
【高畑】「あれ、どっちだっけな?」ってなるから。
――2色遣いにすればいいんですかね?
【高畑】何でもいいから、印さえあってくれればいいかなと思うけど。ほぼ完全に対称形だからね。
――そのかたちと、マグネットの位置のわかりやすさが加われば、さらにいいですね。
【高畑】でもね、この刃がテープのちょうどいいところに入るんだよ。
【きだて】海外のミイラ梱包のような、ビニールテープのグルグル巻きも切れるんだわ。だから、切れ味のバランスのちょうど良さがあって。
【高畑】あと、場所をとらないのがいいよね。
【きだて】そうだね。一々引き出しの中にいれておいたら面倒じゃん。
――それ、一々取り出すの嫌ですよね。
【きだて】やっぱり、マグネットは欲しい。ハサミぐらい大きかったら、立てて置くとかそういうチョイスができるんだけど。
【高畑】俺もデスクまわりのスチールのところに貼り付けてるよ。
【きだて】そうなるよね。
――集合住宅は、ドアは大概スチールだったりするので。
【高畑】そうそう。玄関ドアはスチールなんだよね。
【きだて】だいたい家庭内で荷物を開ける場所って限られているでしょ。で、玄関前ってそういう場所のひとつじゃない。であれば玄関ドアに貼り付けられるマグネットは正解だよね。だから、マグネットの面を分かりやすくしてほしいというのは、大事なことだ。
【高畑】よく見ると、一応、マークは付いているんだけど、分かりにくい。
【きだて】手で触っても、反対側も結構ザラザラしているから、分かりにくいんだよ。結構繊細に触らないと分からなくて。
【高畑】確かにね。
【きだて】だから、デザイン面だけじゃなくて、もうちょっと機能側もって思う。
――この丸いかたちがよかったんでしょうね。
【きだて】色も単色でね。まあ、コスト的な部分もあるんだろうけど。ただね、今年1年死ぬほど使ったので。
【高畑】便利、便利。
【きだて】本当に、1日1回使っているような感じだものね。
【高畑】今年は、ダンボ-ル開けるのって多かったじゃないですか。結局、このぐらいで良かったという感じの。
【きだて】そうそう。
【高畑】昔、これぐらいの大きさで、横からスライドで刃が出てくるやつがあったじゃないですか。
【きだて】あったね。
【高畑】あんな感じのイメージだよね。壁にマグネットでくっついていて。
【きだて】猫の爪カッターみたいなやつね。だから、猫の爪カッター型でもよかったのかもね。
【高畑】セラミックでいくと、オートが出している「セラミックレターオープナー」があるじゃない。あれもめちゃ切れるのよ。「ダンボールカッター」では封筒は開けられないから。だから、あの辺を1個にしたいという気はするの。封筒もよく届くじゃん。で、ダンボールもよく届くじゃん。そこを一緒にしたい気はするね。
【きだて】あ~、オールインワンの、とにかく開けるならおまかせという感じの。
【高畑】セラミックの刃で丈夫なやつ。俺、「セラミックレターオープナー」が好きなんだよ。あれとこれと両方使えたらすごいいいなと思って。
――逆さにするとオープナーみたいな感じ?
【高畑】それとか、この真ん中のすき間に入れたら、封筒がカットされるというのでも。
――それだと、セラミックの刃が2つだから、結構な金額なのでは?
【高畑】いや、それでもね、1個にまとめて欲しいのよ。今は、開ける道具が「ダンボール用」「封筒用」とかがどうしても必要で、分けているんですよ。
――なるほど。
【きだて】それなら、値段が倍でも、俺が3つ、4つ買うよ。
【高畑】だから、機能がまとまっていて、それが壁にくっつけられれば、俺的にはそれが本当にいいなと思う。
【きだて】いいよね。何でも開けられるツール。
――確かにね。それは良いですよ。
【高畑】いつも、郵便受けからガサッと持ってくるじゃん。それで、荷物来ているのを全部まとめて部屋にドンと入れて、順番に開けていくんだけど、その時にダンボールカッターだけだと足りないんだよ。封筒が開けられないから。「ハコアケ」はハサミでチョキチョキ開けていくことができるけど、レターオープナーの方が楽だから。
【きだて】そうだね。封筒はハサミでチョキチョキは面倒くさいね。
【高畑】中身を切っちゃったりするから。だから、封筒1枚だけ切れる「セラミックレターオープナー」もいいなと思って併用しているんだけど。
【きだて】そうか~。それ、まとまっているの魅力的だな。
【高畑】あってほしいよね。
――この鼎談を読んだ、デザインフィルかオートが…。
【高畑】どちらかが、それを入れて作ってくるみたいな。それはそれで、「やったー」って言って買うので。
【きだて】何だったら、相談に乗るよ(笑)。
――じゃあ、興味を持たれた方はきだてさんまでご一報を(笑)。
【きだて】いやぁ、本当によく使った。シュリンクフィルム開けるのにもよく使ったし、大活躍だね。
――なるほど。きだてさんのように、荷物が届く頻度が多い人は、絶対に必要なものですかな。
【きだて】今日も中国から荷物が届いているので、帰ったら、こいつが火を噴くわけですよ。
――一体、1週間のあいだに、どのくらい荷物が届くんですか(笑)。
【きだて】本当に、週10個ぐらい荷物が届くんですよ。
【高畑】届くよね、うん。
【きだて】最近さ、Amazonもヨドバシもダンボールは開けやすくなってるけどさ。
【高畑】ピって押したらテープが取れて、引っ張れるやつでしょ。
【きだて】それだと、テープをゴミ箱に捨てなきゃいけないという手間があるんだよ。それ面倒くさいじゃん。そういうのは、ダンボールごと捨てたいわけよ。
【高畑】あと、ダンボールの表面がはがれるしな。再利用するにしよ、捨てるにしよ、あれはそのままピピって切っちゃった方が早いね。
【きだて】そう。いや、本当に使ったな。
――これは、便利だと思っている人は、世間で多いでしょうね。
【きだて】いやあ、こういった開梱ツールを使っている人はまだ少ない。
――じゃあ、これから啓蒙していかないといかんですな。
【きだて】そう。まだ、「手でバリバリ人」が多い。
――「手でバリバリ人」(笑)。
【きだて】「手でバリバリ人」も「カッターでザクザク人」も多いので、それはやめろよと。
――あ~、うちもザクザク人だ。
【きだて】そろそろ、ダンボール開けるリテラシーを育てていこうよ。まだまだ通販なんて伸びるジャンルじゃん。
――そうですよ。ダンボール開梱セミナーをやらないといけないですね、きだてさん。
【きだて】そう。ZOZOにせよAmazonにせよヨドバシにせよ、荷物はいっぱい届くわけで。彼らがどんなに開けやすいダンボールを作っても、俺はこういうツールを使いたい。
【高畑】それは僕もそう思いますね。大納得です。地味に、普段の生活で大活躍しているね。“どまんなか”のボールペンにひとめぼれ
『ジェットストリーム プライム 回転繰り出し式シングル』をAmazonでチェック
――次は高畑編集長ですね。
【高畑】これ、今年の2月に発売したのかな。「ジェットストリーム プライム 回転繰り出し式シングル」ってちょっと名前が長いんですけど(笑)、要はジェットストリームの高級版で、前からノック式でシングルはあったんだけど、繰り出し式のシングルで。
【きだて】個人的に、ノック式が好きなので、回転繰り出し式にそんなに魅力を感じてなかったんだけどね。
【高畑】なんだけどね。僕は、去年ぐらいから、海外の人に日本の文房具をすすめる番組に出たり、記事を書いたりしているんだけど、そういう場合ついついギミックだったり、便利機能だったりとか、あと刃物は切れ味いいのがあったりするんだけど、文房具っていうと、ど真ん中は筆記具じゃん。
【きだて】そうだね。それは欠かせない部分だね。
【高畑】世界中共通で「文房具って何」となると筆記具じゃん。それで、「筆記具といったら何」という話だと、今は少なくともボールペンじゃん。万年筆もあるし、蒔絵万年筆の「NAMIKI」とか評価高いけど、今の人たちが使う文房具のど真ん中といったら、ボールペンじゃん。
【きだて】まぁ、その辺りの感覚は世界標準って感じでいいと思うよ。
【高畑】世界中の誰が見てもど真ん中のボールペンで、世界に対して「良いよ」と言えるものを紹介する場合、「ジェットストリーム」は世界に紹介できる、めちゃ書き味のいい日本の「ザ・ボールペン」だと思うんですよ。
【きだて】なるほど、そういうことね。
【高畑】そうなんだけど、今までプラスチックの150円のボディは、コストパフォーマンスでいったら世界最高峰なんだけど、世界の人たちに「ザ・日本のボールペン」としてどう紹介するかというときに、ちょっと迷いがあるんだよ。
【きだて】見栄えの点で言えば、そうかも。
【高畑】特に、ヨーロッパの人たちからしてみれば、良いものはやはりエグゼクティブの人がちゃんと使えるきちんとしたものがほしいという、高級志向があるじゃないですか。
【きだて】日本の文房具の美徳って、国内だと「この性能でこのお値段」みたいなところがあるんだけどね。
【高畑】海外の、「いいものにはちゃんとお金を払おう」という上級層からみたら、そんなに安くしなくていいから、ちゃんと使える良いものを作ってくれという部分があるわけじゃないですか。それに対して、「じゃあ、日本のこれは良いですよ」となったときに、これまでは高級のラインがあまり強くなかったんですよね。
【きだて】そうだね。3,000円台とか5,000円台でピリッとしたのが確かに少なかったね。
【高畑】そう。これまでにもジェットストリームプライムには3色タイプや4色タイプがあって、ノック式シングルがあったけども、どちらかというとギミックなんだよね。
【きだて】そうだね。
【高畑】だから、ギミック寄せだったんですよ。あと、日本の市場では、価格がそこそこでノック式というのは、重要な要素なんだけど、海外の人からみるとノック式にそんなにこだわりがない。
【きだて】というか、海外の人は回転繰り出し式が好きだよね。
【高畑】多いんだよね。まあ、ノック式もあってもいいんだけどね。ジェットストリームプライムに関しては、善し悪しがあるけど、あのプラスチックの石が付いている部分がね。
【きだて】言わずにはおれないという(笑)。
【高畑】価格相応なんだけど、なくてもよかったかなという部分もあったりして。まあ気負いがあったと思うんですよ。デザインやカラーリング、ギミック、装飾とか、高級路線にするためのいろんな気負いがあったんだけど、一旦それが出たあとに、シンプルな繰り出し式の構造で、何もしないということにしたことで、ど真ん中の「ザ・ボールペン」ができたと思うんだよ。
【きだて】確かにね。変に気負ってないというか、肩の力が抜けている感があるんだよね、デザイン的に。
【高畑】そこら辺で、「ああ、これでいいじゃん」という部分があって、これ3,000円だっけかな?
――3,000円ですよ。
【高畑】いわゆるミドルクラスで、海外のものと比べたら高級クラスではないんだけど、海外のミドルクラスと比べても全然見劣りしない、「ザ・ボールペン」だよ。
【きだて】質感でいえば、「えっ、これ3,000円でいいんですか」ぐらいの質感はあるじゃない。
【高畑】書き心地は、これはやっぱりね、世界に自信を持って言いたい。「日本のボールペンは、書き味は最高にいいよ」って。
【きだて】そうだね。
【高畑】好みで「ゲルが好き」というのもあるけど、世界のボールペンのど真ん中はやはり油性なので。油性で戦っていく上で、日本らしさがすごく出ているボールペンなんですよ。だから、これは「ザ・日本のボールペン」なんですよ。
【きだて】海外のボールペンでも、「クインクフロー」みたいな低粘度油性があるんだけどさ、書き比べてみるとなんか違うっていうのがあるのね。これが日本人好みなのかどうかは、俺には判断がつかないけど。
【高畑】それはね、これから「これが日本のボールペンだよ」って出したときにみんなが試してくれて、というのはあってもいいと思うけど。
【きだて】今、ジェットストリームは、世界で1億本以上出荷しているというのがウリなわけじゃない。
――結構世界で売ってますよね。まあ、元々海外先行だったじゃないですか。
【きだて】あれっ、ジェットもそうでしたっけ?
――そうですよ。確か、最初に海外でキャップ式を出したんですよ。その辺はフリクションと同じはずですよ。
【きだて】海外のAmazonなんかのレビューをみると、「アメイジング!」とかとういう言葉がいっぱい踊っているわけですよ。
【高畑】日本の文房具を何か1個だけ海外の人に勧めるとしたらこれだなって、僕は今年そう思ったんですよ。これが大きい。あと、ヨーロッパと共通規格のリフィルを作ったこと。いわゆる“パーカータイプ”といわれるリフィルは、ヨーロッパに共通のがいっぱいあるので、これに関してもものすごい大きいと思うんですね。いわゆる4Cタイプはもちろん、マルチペンのリフィルは昔からあるけど、本当に書き味オンリーなら単色で勝負だと思うんですよ。これは、ギミックがあって便利とか、ごまかしがきかないから。書き心地だけで勝負した場合、このインクタンクを作ったのは結構大きくて。
【きだて】そうだね。
【高畑】しかもこれは、他社の商品とも互換性があるということでしょ。ってことは、「日本のボールペン使ってもいいかな」と思っているけど、外観は今まで使っているペンを使いたいという人に、これを入れ替えて使ってもらいたいという。
【きだて】戦略的かつ野心的なリフィルなわけだものね。
【高畑】まあ、言ってみれば三菱は高級筆記具を作るのに手慣れている会社ではないから。元々は鉛筆屋さんなので。ガワに関しては、もっと高級でいいものがヨーロッパにはあるよ、というのは分かるんだけど、実用品として考えたら、これ以上のスペックは要らないと思うんですよ。
【きだて】そもそも出自は100円台200円台のザ・実用ボールペンだからさ。そういう意味では、日用品の中で一番良いものができました、と言えるし、日本のボールペンのフラグシップと言えるものができた、って話でもある。
【高畑】もちろん、もっと高いものは作れるかもしれないけど、この3,000円というのが、今のボールペンで実用で必要十分な価格スペックで考えたら、ここだと思うんだよ。これ以上は、多分過飾だと思うんですよ。
【きだて】そうね。
【高畑】ここから上は気分の問題で、ここから下は性能の問題が出てくるので、ちょうどここがど真ん中なんじゃない。
【きだて】これ以上高くなると、伊東屋なんかでも「宝飾品」って書かれたレシートを渡されるんだよ。
【高畑】そうだよね。宝飾品っていうか、アクセサリーとしてのもっと高いものではなくて、本当に実用のボールペンだと、多分一番いいバランスのど真ん中だと思う。要は、日本のど真ん中のボールペンだし、世界のど真ん中のボールペンとしていけるんじゃないか。ど真ん中・オブ・ど真ん中なので、“ザ・ボールペン”と言えるものが、やっとできたんじゃないの。「やっと」というと失礼かもしれないけど、日本を代表する文房具でボールペンというと、実はこれまではずっと変化球勝負をしてたわけですよ。直球ど真ん中での勝負を避ける気持ちが、どこかにあったんじゃないのと思うんだよね。
――はい。
【高畑】そこに、ど真ん中のストレートで討ち取れるものを出してきた。
【きだて】多分ね、最初から「世界標準でいきます」ぐらいの意気込みがあるからこそできた直球だと思うのね。「日本人向けだから、当然ノックは必要だよね」というのも当然アリなんだけど、それだと世界で勝負できるものではないじゃん。
【高畑】うん、何かね。
【きだて】変化球で国内向けじゃん。
【高畑】メジャーで勝負するにあたり、フォークボールとか得意球があるわけじゃん。スライダーが得意とかじゃなくて、直球だけでメジャーの中で投げ込むみたいな感じじゃないですか。
【きだて】そうなると「160キロ出ます」みたいな話だよね。
――そうそう、スモールベースボールの話じゃないんですね。
【高畑】そう。ともすると日本人は、軽くてコンパクトで、ちょっと特徴的な機能があってみたいなところへ行きがちなところに、ど真ん中で戦っていける。しかも、ボールペンの基本の全てがここにあるような気がしていて。もちろん、ここから派生して、ノック式があったり、多色・多機能があったり、高級ラインがあったりしてというのがあると思うんだけど、多分これが座標原点だと思うんですよ。
【きだて】そこまで言いつつも、俺は日本人なので「ノック好き」というのはいつまでも言い続けるけど(笑)。
【高畑】全然それでいいと思うよ。それでいいんだけど、世界を見た視野の中で、ど真ん中に投げ込む自信がようやくできてきたというか。それを、僕らが自信を持って紹介しても恥ずかしくない商品。でも、じゃあ今までどうだったかを考えたら、ちょっと特徴的な先端技術だったじゃないですか。いや、いいんですよ、消えるとか。あれは消える魔球じゃないですか(笑)。
【きだて】そうな(笑)。
【高畑】それ以外でも、ゲルインクなんて日本人が開発に大きく関わっているわけだし、リードしてきたわけだけど、それは最先端じゃないですか。でも、ずっとずっしり落ち着いている、ヨーロッパのガラスケースに入っているボールペンたちとは、全然違う勝負をしてきたから。それが、あの中で勝負をしてみても、力負けをしないという気がするので。
【きだて】よしんば力負けしたとしても、ガワの中にこのリフィルが入りますぜ、というやらしいやり方もありで(笑)。
【高畑】それは見た目の話でしょ。ガワに関してはヨーロッパの方があれだけど。
――そこは好みがありますからね。
【高畑】そこは、欧米の自動車に日本のエンジン積んでいるみたいなことになっていってもいいと思うんですよ。ヨーロッパの老舗メーカーっていっぱいあるけど、そこに対して少なくともエンジンだけは負けてないよというのはあるので。
【きだて】そうだな。
――このペンに関しては、バランスはいいんじゃないですか。価格的な部分と性能的な部分の。
【きだて】本当にね、見た目の力抜けてる感はすごいと思うよ。
――それはそうですね。
【きだて】多分ね、もうちょっと高くしようと思ったら、クリップのかたちとか変えてくるんですよ。これ、すんごいシンプルじゃん。だから、「ザ・ボールペン」のかたちそのまんまというか。
――ストレートな感じ。
【きだて】その辺は、大分意識してるんだなと思う。
【高畑】本当に、座標軸のど真ん中を射貫いている感じがするんですよ。
――同じ3,000円のボールペンで「アクロドライブ」と比べても、かなりストレートな感じで。
【高畑】こっちの方が真ん中に近いじゃないですか。「アクロドライブ」ももちろん良いし、「アクロ1000」や「アクロ300」も良いんだけど、1000や300はノック式で便利とか、ちょっとおしゃれという方に行くと思うんだけど、これはおしゃれかどうかすら分からない無名性があるじゃないですか。あえて、「デザインしてません」みたいな力が入ってないところもね。
【きだて】このままボールペンのアイコンにできるんだよね。
【高畑】これが、21世紀の普通に良いボールペンという。
【きだて】世界標準ね。
【高畑】これがベンチマークになるんじゃないのと思う。
【きだて】そうだよね。
【高畑】もちろん、僕が使ったいろんな文房具があるんだけど、これに関しては世界中の人に「買って損はないから、使ってみてよ」と言えるボールペンなので、僕としては今年はこれを推したいと思います。
――これ、0.38㎜が出ましたからね。
【高畑】そう。日本人的には、0.38と0.5があるんだけど、ヨーロッパの人向けには0.7㎜。それで、0.9㎜とかも出してほしいんですよ。
――ちょっと太書きの。
【高畑】国内的には、極細字が出てもちろん嬉しいんだけど、俺としては0.9㎜とか出してくれたら、海外の人にもっとおすすめしやすくなると思うけどね。それは、やればいいと思う。0.9㎜のジェットストリームって見たくないですか?
【きだて】そうだね。ノーマルだと1.0㎜があるのかな。
――1.0㎜ありますね。
【高畑】もちろん1.0㎜でもいいんだけど、それでこのリフィルを作ってくれたら、海外で十分勝負できると思う。
【きだて】パーカータイプの1.0㎜。それは十分いけそうだね。
A4三つ折りサイズがちょうどいい
『ぴったりすっきりホルダー』をAmazonでチェック
――前回の収録では、他故さんが風邪で欠席となってしまいましたが、今回は元気に出席されていますので、他故さんのベストバイのお話を伺います。事前に何を選んだのかは聞いていたのですが、プラスの「ぴったりすっきりホルダー」ということで。
【きだて】その話を聞いて、「さすが他故さん、しっかりしてる」と思って。
【他故】何がやねん(苦笑)。
【高畑】封筒の中にクリヤーホルダーを入れようというのが、なかなかあれじゃないですか。封筒でいいじゃんと思うし。
【きだて】正直な話、封筒の中に普通に紙を入れておけば、それでいいじゃんっていう話だし。
【他故】普通はね。いや、元々A4三つ折りというサイズが好きなんですよ。
【きだて】はいはい。
【他故】A4三つ折りって、意外と使うのね。個人的に一番使うのが、映画のチケットを買ったときに持ち歩こうっていう紙が出てきたときに。
――ネットで映画の予約をしたときの紙ですね。
【他故】QRコードが入っているやつがあったりするときは、「プリントアウトして持て来て下さい」と言われたりするので、出力した紙を三つ折りにしてこのホルダーに入れて、このまま持っていくんですよ。入れたままでQRコード読み込めるし。
【高畑】ああ、なるほど。
【他故】これだと絶対になくさないし。
【高畑】封筒に入れて郵送するんじゃなくて、自分で使う用ということだね。
【きだて】そっか、純粋にクリヤーホルダーとして使うんだ。
【他故】封筒に入れることだけを考えたらもったいないと思って。この大きさのものだったら何でも合うし、チケットを入れておくでもいいし、すごく使いやすい大きさだと思うので、これは普及してほしいなと個人的には思っている。たまたま、A4三つ折りのノートなんてものも世の中にはいくつかあるわけで、このノートにカバーを付けると、せっかくの薄さが半減しちゃうけど、このままカバンに入れておくと折れちゃったりするので、そういうときに、あ~らピッタリ。ちょうどいい大きさなんですよ。
――そうか、ノートも入れられるんですね。
【きだて】ノートカバーだ。
【他故】ノートケースだね。
――プラスといえば、「カ.クリエ」というノートがありますね。
【他故】「カ.クリエ」入りますよ。プラスの商品だからこそ、「カ.クリエ」がちゃんと入るし、この大きさのフォロワーのノートもちょこちょこ出はじめているので、単体でノートを持ち歩きたいという人は、それはそれで折れなくていいから。
【高畑】三つ折りっていうのは、自分で折るの?
【他故】自分で折るよ。
【高畑】四つ折りとか二つ折りじゃなくて、三つ折りというのがちょうどいい?
【他故】僕にとってちょうどいい。
【きだて】封筒がある以上は、三つ折りって結構標準サイズになるじゃん。
【高畑】送られてくる案内状とかが、割とそのサイズじゃん。自分で三つ折りにしようとすると、俺って不器用じゃん。三つ折りにできないんだよ。
【他故】ああ~、はい。
【きだて】前に言ったかな。俺って、A4三つ折り上手いんだわ。
【高畑】マジで(笑)。
【きだて】目見だけでかなり精密にピタッと。
――それは、職人的な感覚で?
【きだて】なんとなくの。
【他故】俺も、ピッタリではないけど、適当に折ってもほぼこれぐらいのレベルで折れるから。半分だと大きいんだよね、A4の場合は。ノートにはさむのだったらいいんだけど、A5って結構大きいんだよ。持ち歩くんだったら、結構細い方がいいと思っていて、大体のものを三つ折りにしちゃうんですよ。
【きだて】話を聞いていると、結局のところやっぱり他故さんはちゃんとしてんなという感じだよ。
【他故】いやいや(苦笑)。
【きだて】A4の紙だって、わざわざ三つ折りにして持ち歩かなくても。俺なんかだと、持ち歩いているノートなんかをA5で統一しているので、A4二つ折りにしてはさんじゃうんだよ。それだけで十分だと思っているし。
【他故】分かる、分かる。ノートにはさんでおくのもすごくいいんだけど、チケットを取り出すときにノートも取り出すじゃない。
【高畑】それは分かるな。
【他故】チケットを取り出す前段階としてそれがある。僕も、常に手帳にはさんで持ち歩いているんですよ。
【きだて】はいはい。
【他故】頭がほんのちょっと出ているので、はさんでいるのが分かるし、これをカバンの中に入れていて、チケットを取り出さないといけないなというときに、手帳ごと出すのは面倒くさいので、頭のところだけつまんで出す。
(一同)ほ~。
【他故】それで、カバンの中でも頭が出るようなかたちで入れておく。あとは、上着の内ポケットにも入るサイズなので、僕にとってはジャストサイズなんですよ。
――他故さんは仕事でスーツを着るから。それも大きいですよね。
【きだて】あ~、そうね。それも大きいね。
【他故】出張で飛行機に乗るときなんかに、どの荷物の中にチケットを入れたっけ? というのが嫌なので、これに入れて胸ポケットで決まりっていう。絶対に折れないし。
【高畑】俺の場合は、列に並んでてあと2人くらいのときに「あれ、どこへ入れたっけ?」って思うからな(笑)。
【きだて】俺も(笑)。
【高畑】割とそうなっちゃうんだよね(笑)。
【きだて】機能的が何だ、効率化が何だと偉そうなことを言っている我々ですけど、結局のところはちゃんとしている人に勝てない(笑)。
【高畑】直前にバタバタする方ですよね。
【他故】物の定位置を作ってあげることで忘れないから。僕もいろんなところに物を置いて、忘れちゃう人なので。
【高畑】定位置は大事ね。
【他故】基本的に定位置なんだけど、机の定位置じゃなくて、物の定位置を作ってあげるといい。この中に絶対に入っているっていう。
【きだて】分かってはいても、それに一々折りたたんでとか手間を惜しんじゃうんだ。あ~、ちゃんとしてる。
【他故】まあまあ、三つ折りが苦じゃない人ならが、この長形3号サイズを試していただけると、楽しいんじゃないかなと思うけど。
【きだて】もはや「折れても知ったことか」で生きているからな。
【高畑】角2封筒なんかに、書類を折れずに入れるときにクリアファイルなんかを使うんだけどね。
【きだて】それが関の山だな。
【高畑】でも、長3だといいかなって思っちゃうんだよね。割としっかりしてるしって思っちゃうんだよ。大きすぎないから。
【他故】よろしければお試し下さい。
――「オレッタ」ってどうですか?
【きだて】あれもA4三つ折り。
【高畑】これよりは機能的だけど、その分かさばるので、こっちの方が薄くて済むから。
【他故】元々「オレッタ」は、A4三つ折りをする理由がなく、入れておけばいいのでね。
【高畑】書類を入れれば、勝手に三つ折りになるからね。
――だから、三つ折りが苦手な人は、「オレッタ」を使えばいいんですね。
【高畑】そういうことです。
【他故】「カ.クリエ」を買うと、三つ折りガイドが付いているので、そういう組み合わせもできます。
――まあ、A4三つ折りが好きな他故さんにはちょうどよい商品で。
【他故】世の中の人に上手く伝わるのか分かりませんが、ぜひ使ってみて下さい。
【きだて】いや、A4三つ折りが好きという以前に、これが標準サイズになりつつあるので、需要はあるんだよね。
【高畑】だね。
【きだて】これが発売されたときに、「おっ、プラスいいところに目を付けてきたな」とは思ったんだ。実際に、すごく丁寧な人から、既存のクリアホルダーを切ったものに紙を入れて、それを封筒に入れられて送られるという経験があったのよ。超絶しっかりしていると思って。こっちはおののくだけなんだけど(笑)。そういう人に対して、強く出られなくなっちゃうよね。「この人はすごくしっかりしている人だから、何かあっても俺の方が間違っているに違いない」って。
【高畑】何かね、「数字間違ってました」って言われたら、「すみません」って言ってね。
【きだて】「こっちのミスです」って躊躇なく言えちゃう。それを言わせるための道具だなとすら思ったんだけど。
【他故】しっかりしているという風に見えるというだけで、いいのかもしれませんけど。プロっぽく使えて楽しいカラー筆ペン
*写真中央は他故さん直筆のイラスト
――それで、もう一つあるんですよね。
【他故】はい、トンボ鉛筆の「ABT」です。元々絵を描くんですが、カラーが苦手なんですよ。
――カラーが苦手?
【他故】絵に色をつけるという能力が、才能がゼロで。子どもの頃から絵を描くのは好きなんですが、絵を描かせて、色を塗ると最悪になるのをずっと繰り返していて。
【きだて】それは塗りが下手なの?
【他故】塗りじゃなくて、色の選び方。塗りもそうかもしれないけど、まず選び方がド下手。
【きだて】分かる。そもそも俺が最初にイロブンのサイトを作った時に色をオレンジで統一したのは、色のセンス悪いのを隠すためだもの。
――そういうきだてさんには、伊東屋で「マイ マイティ」万年筆を作ってもらいたいですね(笑)。
【きだて】あれは無理。
【他故】というわけで、いろんなカラーペンを試してみたいと思ったんですけど、それなりにお高かったり、良い物はプロっぽかったり、色数をそれなりに揃えないと上手く表現できなかったりとか、いくつか障壁はあったんですけど、たまたま「ABT」を並べている店を見て、自分の描いている絵が、たまたまなんですけど、グレーばっかりしか使わない絵だったので、「いいグレーがいっぱいあるじゃん」と思って。それでグレーを中心に色を揃えてそれで描いたら、筆っていいなと。細かったり、太かったり、強弱つけたり、濃淡つけたりというのには、やっぱり自分には筆が合っているんだなという気がして。
――サインペンよりは筆ペンの方が合っていたんですね。
【他故】他メーカーさんからもたくさんカラー筆ペンが出てますけど、たまたまグレーのバリエーションがちょうどいい感じで数が多かったので、使ってみようかなと。
――グレーが多いというのはあまり聞かない感じがしますけど。
【他故】本当のカラーのペンだと、グレーはすごい多いですよ。
【高畑】「コピック」なんかだと、グレートーンで描く用に、ウォームグレーとかクールグレーで揃えているんだけど。
――最近のカラーペンっていうと、ピンクとかオレンジなんかのバリエーションが多いじゃないですか。
【きだて】女子色のバリエーションが多いですよね。
【高畑】それ以前に、これ108色もあるんだよ。だから、色数がめちゃ多いから、グレーもできるので。もしこれが全部で40色しかなかったら、3分の1ぐらいグレーになっちゃうから(笑)。でもこれ、海外でそんなに人気があるのがすごいね。
【きだて】お店でみてても、画材としてカラーの筆ペンを買っていく海外の人は多いみたいだよ。筆は海外でも人気あるね。
【他故】海外ってこういう筆っぽいのってないのかな?
【きだて】あんまり聞かないね。
【他故】ピンとこないよね。
【きだて】大体はマーカーチップで出すよね。
【他故】アメリカですごく売れているみたいだけどね。
【きだて】うん。
【他故】僕のイラストなんて大したことないですけど、プロっぽくなるのが分かったので、楽しくてしょうがないですよ。プロっぽい雰囲気で塗れるんですよね。すげえ楽ちんで。全然何も考えずに濃淡が出せるし。
【きだて】筆の方がタッチが出しやすいというのはあるよね。
【他故】今まで色をつけるのがずっとコンプレックスだったんですけど、カラーで描くのが楽しくなった。これは試してみると楽しいと思いますよ。
プロフィール
きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/
他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。
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